東京ハードボイルド生活

映画・演劇・ドラマ・本など、日常生活で触れたものを紹介していきます。

「HOMELAND シーズン7」

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何年か前に観始めて、ここしばらくほったらかしになっていたので、少し復習をしてから続きのシーズン7を鑑賞。

シーズン1~3までのブロディシリーズは文句なしに面白かったけど、シーズン4以降は毎回試行錯誤というか、複雑なバックグラウンドや新しい登場人物など、背景と人物関係を理解するのに時間がかかる。前シリーズでクインが死に、シリーズの縦軸が弱くなった印象は否めない。

しかしながら、このドラマの心理戦はやはり見応えがある。「24」との類似点はあるものの重きを置いているものが違うので、スッキリした解決や結末などがないところもリアルで私は好きだ。

さて次のシーズン8がいよいよファイナル。流れを忘れてしまう前に観始めないと。

 

「永い言い訳」

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「すばらしき世界」→「ゆれる(映画)」→「ゆれる(小説)」と流れてきて、すっかり西川美和監督作品の虜になってしまった。今回は2016年の「永い言い訳」をDVDにて鑑賞。

状況設定など序盤のシーンで無理なく把握でき、さすがだなあと思っていたら、すぐに深津絵里さんが亡くなって、これからどういう流れになるのだろう?(あらすじなどの情報は全くない状態で観始めた)と心配になったけど、終始惹きつけられる見事な展開だった。

とにかく俳優が素晴らしい。そして子供の演技が自然なのは是枝監督と同じ手法なのだろうか。子供が演技をしている感じがなく、そのままの状態で、ただそこにいるように見えた。

自分の身近な人が突然死んでしまうという出来事に対するリアクションはとてもリアルで、それをクズという人もいるけど、人間そんないい人ばかりじゃない。みんな後ろめたいこともあるし、心が狭かったり、だらしなかったりするはずだ。

印象的なシーンはたくさんあるけれど、観終わっていちばん深く残るのが、冒頭のモックンと深津絵里さんのやりとりだ。この夫婦の関係性が手に取るように感じられ、しかも情報過多ではなく、もう少し知りたい、と思うくらいの塩梅。後々のシーンにとても重要な意味を持ってくる。それに気付いたときに、ハッ!として、震えた。観終わってここだけすぐにもう一回観たくなる。

次は何にしようか…楽しみ。

 

ひなた旅行舎「蝶のやうな私の郷愁」

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松田正隆さんの「蝶のやうな私の郷愁」は30年以上前に書かれた戯曲で、これまでに様々な団体が上演してきた。その中の一握りしか観たことはないんだけど、上演ごとにいろんな種類の演出があるようで。カンパニーの個性もあれば、時代性もあるだろうし、その違いを見るだけでも楽しいと思う。

ひなた旅行舎の上演は、やはり、演出の永山さんらしさが随所に現れていた。永山さんは、絶対に普通にはやらない(笑)。そのオリジナルな表現方法をどう見ればいいのか分からないときもあるのだが、今回は知っているお話ということで、変化球の演出も楽しめた。(永山さんにとっては直球なのかもしれないけど)しかしながら、登場人物の心情を感じたいときに、たまに演劇的な演出(様式美のようなもの)が入ると、少し冷めてしまう。とことん俳優を堪能したいのに、と思ってしまう。

多田さんの大きな声でのセリフが、耳に心地良くない。声の質の問題なのか、流れとズレてるからか分からないけど、単純に大きすぎるのかなあ…。自分だけかな、気になるの。

小松台東「てげ最悪な男へ」

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毎回、無骨な男くさい作品を見せてくれる小松台東。今回も期待通り、濃密な空気を満喫。

物語は前半と後半の2部構成になっており、俳優は同じ役を演じる人もいれば、全く別人を演じる人もいる。同じ役者が演じている2人の人物に関係性はあるような、ないような。その前半後半での俳優の演じ分けがこれまたお見事。同じ人物である場合でも、年月の経過を感じさせて「ああ、こんなふうになっちゃったのね」とニンマリしてしまいました。

主役の小園さん、内に秘めた沸々とした感情を常に感じる。瓜生さん、粘着質ないやらしさの塩梅がちょうどよく、後半を見た上で前半をまた見てみたいと思わせる。今村さん、コメディリリーフのような役回りで出番が少なかったのが残念。松本さん、いつものコワモテで引っ搔き回す役どころ、身近には絶対いてほしくない。青野さん、台本の構成上、人物の一部分しか見せてもらえないけど、どんな人かとても気になる。荻野さんはさすがの貫禄と凄み。

いろいろ頭の中で想像しながら楽しむことができるので、2回目、3回目と観ると、また違った解釈もできて面白そう。でもそんなに観るお金はないのよね。緊急事態宣言中で半分しかお客さんが入れないのが本当に残念。

「タクシー運転手~約束は海を越えて~」

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タクシー運転手~約束は海を越えて~


2017年の韓国映画Netflixにて鑑賞。とにかくソン・ガンホが出ているので間違いないだろうと。実話をベースにした作品で、1980年の光州事件が描かれている。
お隣の韓国でこのようなデモや学生運動が起こったのが1980年だと知ってびっくり。最近でもないけど、そんな昔じゃないんだなと。日本だったら警察が抑え込むんだろうけど、韓国では軍隊なのでもう容赦ない。殺しても構わないような鎮圧の仕方が恐ろしくて。
ドイツ人役のトーマス・クレッチマンがあまり感情を出さない淡々とした演技をしているのに違和感を覚えた。記者とはいえ軍人ではないのだからああいう状況では冷静でいられなくなるのじゃないのかなと思ってしまって。あと簡単な英語しか喋らないっていうのも、それはそうなんだろうけど、何か入り込めなかった原因の一つかな。
しかしまあ、この実話をエンターテインメントとして完成させる力はさすがだなあ。ソン・ガンホがソウルへ戻るところから光州へ引き返す、あの葛藤は見応えがあった。

「ヴィンチェンツォ」

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ヴィンチェンツォ

Netflixで話題の韓国ドラマ。ランキングもずっと上位。知り合いに勧められて観始めたけど、これぞ韓国ドラマ!という感じで最後まで楽しみました。

ストーリーは、なんとなく予想がつくことと、そうではないことのバランスが良かった。お約束的な部分は安心して観ていられるし、かと思えば「まさか!」という展開もある。とにかくヴィンチェンツォ・カサノが完璧過ぎて、無敵過ぎて。相対的に敵がとても弱く感じたのが物足りないと言えば物足りないかなあ。

ちゃんとお金と時間をかけて丁寧に作られたドラマですね。日本だったら、こんな20話もあってしかも1話が90分ほどあるドラマを作る体力がないだろうし、ホント羨ましいなあ。

「ゆれる」

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西川美和監督の「すばらしき世界」がすごく心に響いたので、過去の作品も観てみたいと思い、「ゆれる」をNetflixにて鑑賞。

兄弟とその幼なじみの三角関係から、事件、事故が起こって、登場人物たちのまさに「ゆれる」心情が見どころ。はっきりとした答えは明示せず、いろんな解釈ができるような作りになっています。脚本や演出はもちろんそのように作られているんだろうけど、俳優の演技もどちらにも解釈できる幅をもったというか余白のあるものでした。怒っているのか、笑っているのか、喜んでいるのか、悲しんでいるのか、いろいろこちらで想像しながら観るのが楽しい。

1回観ただけでは分からなかったことも多いと思うので、もう1回観ようと思ってます。そして小説もあるということなので、そちらも読んでみたい。